今回は記号の話をしましょう。
「点訳のてびき」の点字記号一覧の8頁に「記号・符号」が書かれています。
たくさんありますね。しかし、墨字の豊富な記号類をこれだけで賄わなければならないので、かなり少ないとも言えます。
では、まずカギ類とカッコ類のお話をしましょう。
点字においては、カギ類とカッコ類の役割が決まっています。
例: 《マキシム》で夕食をご一緒できませんか?
この例では、マキシムと言うのはレストラン名で、説明でも挿入でも無く、ちょっと強調して2重カッコを付けているにすぎません。このような場合は、何か強調の意味のカギを使います。良く使われるのが、第2カギです。
2重カッコの例: −− −− −− −−
−● ●●まきしむ●● ●−
−● ●● ●● ●−第2カギの例: −− −− −− −−
−● −−まきしむ−− ●−
−● ●− −● ●−
「 」(第一カギ)、〈 〉(第2カギ)、『 』(二重カギ)、( )(カッコ)は、原文とほぼ同じ形で書いて間違いありませんが、その他のカギ・カッコ類は、点字の意味に合わせて適当なものを選ぶ必要があります。
“ ”等で強調されている場合は、第2カギを使います。もし第2カギが重なるような場合は、どちらかのカギを別の記号に置き換える必要があります。
例:〈彼は、“昭和の時代”に生まれた人間だった〉
この例では、第二カギで始まり、その中に“ ”で強調された文があります。双方を第2カギにするわけにはいきませんので、“昭和の時代”の “ ”を、第1カギや、第1指示符に置き換えたりします。
例: 彼は、あの事が気になって眠れなかった。
−− −− −− −−
−● −−あの こと−− ●−
−− ●● ●● −−
例: 金力と筋力
−− −− −− −−
きんりょく●● ●●かねの ちから●● ●●と
●● ●● ●● ●●−− −− −− −−
きんりょく●● ●●きんにくの ちから●● ●●
●● ●● ●● ●●
※ カギやカッコ類の点字記号を見ていただければわかりますが、一部分を取り出すと、他の記号と同じ物が使われています。点訳者挿入符は、カッコを2個続けたものですし、二重カギや指示符の内側の記号は、第1カギと同じ物です。それに、開きと閉じの記号が同じものもあります。ですから、カッコやカギの内側にさらにカッコやカギが入る場合は、誤読の恐れがある場合があります。スペースを入れたり、別の記号に置き換えたりの工夫が必要になりますが、いろいろなケースがありますので、点訳のてびきを参考にされて、工夫して見てください。最後に、二重カギの閉じの記号を見てください。左側が読点と同じ記号、右側が第1カギと同じ記号です。ですから、以下の例をそのまま点訳すると、読点と第1カギの部分が、二重カギの開き記号に見えてしまいます。ですから、このケースでは読点は省略する事になっています。
例: 「それで、」と彼は言葉を続けた。
−− −−
それで−● −−と かれわ ことばを つづけた。
−● ●●
↑
省略します。