【書 名】玉砕 【著 者】小田実 【出 版 社】新潮社 【発 行 日】1998年5月15日 【I S B N 】ISBN4-10-423201-7 【点 訳】愛 【校 正】ナビール 【作 成 日】1998年10月10日 【デ ー タ】全3巻
太平洋戦争末期の南洋の島 −− 人は何のために戦っていたのか? 戦後派作家・小田実が初めて挑戦したギョクサイという極限状況の 人間の存在 島のガイドがジャングルのなかに突き出た岩山を見上げながら、あ そこには面白い話があると、彼が案内して来た日本人に言った。 自 分はまだそのときには生まれていなかったから実際のことは何ひとつ 知らないのだが、この島で日本軍の「ギョクサイ」の戦闘があったと き、本島で娼婦だった日本人の女が守備隊兵士の恋人を追って来た。 「ギョクサイ」のいくさが始まるまえか、始まってからのことか、判 らないが、とにかく彼女は禁をおかしてやってきて、あの山のつい下 の洞窟に恋人といっしょに隠れた。 恋人はそこで死ぬのだが、恋人 が死んだあと、彼女は自分で銃をとってたたかい始めた。