第160回芥川賞候補作6作 【タイトル】ニムロッド 【著 者】上田岳弘 【掲 載 誌】群像2018年12月号 【ファイル】nimrod01〜02 256頁 【内 容】 第160回芥川賞候補作。 仮想通貨をネット空間で「採掘」する僕・中本哲史。 中絶と離婚のトラウマを抱えた外資系証券会社勤務の恋人・田久保紀子。 小説家への夢に挫折した同僚・ニムロッドこと荷室仁。…… やがて僕たちは、個であることをやめ、全能になって世界に溶ける。「すべては取り換え可能であった」という答えを残して。 …… 【タイトル】戦場のレビヤタン 【著 者】北川文次 【掲 載 誌】文學界2018年12月号 【ファイル】senzyou・150頁 【内 容】風が吹いている。おれは、その風を肌でしっかりと感じながら、レンジローバーの後部座席で揺られている。黒々とした車体に鼻先の長いボンネット、長方形のヘッドライトに挟まれるようにしてあるマスクのかかった吸気口は、どこか動物の顔に見えないこともない。屋根にはヤマキ製のルーフキャリアが備え付けられており、リュックやRVボックスといったものが乱雑にしばりつけられてあった。 【タイトル】ジャップ・ン・ロール・ヒーロー 【著 者 名】鴻池 留衣 【掲 載 誌】新潮2018年9月号 【発 行】2018年8月7日 【ファイル】jap_1・152頁 jap_2・154頁 【内 容】80年代に海外進出を果たしたバンド「ダンチュラ・デオ」は実在したのか? 慶大生バンドの戯れは、やがて歴史的陰謀の情報戦へと巻き込まれてゆく。フェイクがオリジナルを炙り出し、真実がウィキペディア的に編集される時代の狂騒を描く《芥川賞候補作》。 【タイトル】居た場所 【著 者】高山羽根子 【掲 載 誌】文藝2018年冬号(2018年11月1日発行) 【ファイル】itabasho01〜02・190頁 【内 容】かつて実習留学生としてやってきた私の妻・小翠(シャオツイ)。表示されない海沿いの街の地図を片手に、私と彼女の旅が始まる。記憶と存在の不確かさを描き出す、第160回芥川賞候補作。 【タイトル】平成くん、さようなら 【著 者】古市憲寿 【掲 載 誌】文學界2018年9月号 【ファイル】heiseikun01〜02(まだ不明)頁 312頁(※2019.2.6追加) 【内 容】 第160回芥川賞候補作。社会学者・古市憲寿、初小説。 安楽死が合法化された現代日本のパラレルワールドを舞台に、平成という時代と、いまを生きることの意味を問い直す、意欲作! 平成を象徴する人物としてメディアに取り上げられ、現代的な生活を送る「平成くん」は合理的でクール、性的な接触を好まない。だがある日突然、平成の終わりと共に安楽死をしたいと恋人の愛に告げる。 愛はそれを受け入れられないまま、二人は日常の営みを通して、いまの時代に生きていること、死ぬことの意味を問い直していく。 なぜ平成くんは死にたいと思ったのか。そして、時代の終わりと共に、平成くんが出した答えとは――。 【タイトル】1R1分34秒 【著 者】町屋良平 【掲 載 誌】新潮2018年11月号 【ファイル】1R1_01・112頁、1R1_02・108頁 【内 容】 第160回芥川賞候補作。 なんでおまえはボクシングやってんの? 青春小説の新鋭が放つ渾身の一撃。デビュー戦を初回KOで飾ってから三敗一分。当たったかもしれないパンチ、これをしておけば勝てたかもしれない練習。考えすぎてばかりいる21歳プロボクサーのぼくは自分の弱さに、その人生に厭きていた。長年のトレーナーにも見捨てられ、変わり者のウメキチとの練習の日々が、ぼくを、その心身を、世界を変えていく――。