【書  名】共喰い(すばる10月号)
【著  者】田中慎弥
【出 版 社】集英社
【発  行】2011年10月号
【点  訳】kiko
【校  正】桃子
【作 成 日】2012年1月
【デ ー タ】全1巻

  第146回芥川賞受賞作。――昭和63年。17歳の遠馬は、怪しげ  な仕事をしている父とその愛人・琴子さんの三人で川辺の町に暮  らしていた。別れた母も近くに住んでおり、川で釣ったウナギを  母にさばいてもらう距離にいる。日常的に父の乱暴な性交場面を  目の当たりにして、嫌悪感を募らせながらも、自分にも父の血が  流れていることを感じている。同じ学校の会田千種と覚えたばか  りの性交にのめりこんでいくが、父と同じ暴力的なセックスを試  そうとしてケンカをしてしまう。一方、台風が近づき、町が水に  のまれる中、父との子を身ごもったまま逃げるように愛人は家を  出てしまった。怒った父は、遠馬と仲直りをしようと森の中で遠  馬を待つ千種のもとに忍び寄っていく....。川辺の町で起こる、  逃げ場のない血と性の臭いがたちこめる濃密な物語。