【書 名】約束の国への長い旅 【著 者】篠輝久 【出 版 社】リブリオ出版 【発 行 日】1995年8月5日 第13刷 【I S B N 】ISBN 4-89784-159-3 C8393 P1236E 【点 訳】HIROBU 【校 正】ナビール 【掲 載 日】1998年11月13日 【デ ー タ】全2巻
領事館のまわりはたくさんの人の群れにうめつくされました。男も 女も老人も子ども達もいます。みんなじっとおしだまったままです。 人びとの声にならない息づかいが、朝の領事館を包んでいました。ポ ーランドからナチスの迫害をのがれてきたユダヤ人難民です。彼らに は、日本への逃げ道しか残されてしません。みんな必死に「日本を通 るビザをください」と杉原領事に訴えました。「ビザを出してよろし いか?」 杉原さんと日本の外務省との間で、ビザをめぐり何回も暗 号電報のやりとりが続きます。しかし、日本政府の答えは「ビザを出 すな」という命令でした。祖国にしたがうか、人類愛に生きるか杉原 さんと奥さんはつらい立場にたたされます。