【書 名】甘露 【著 者】水原涼 【出 版 社】文藝春秋 【発 行】文學界平成23年6月号 【点 訳】桃子 【校 正】賽子 【作 成 日】2011年8月 【デ ー タ】全1巻 第145回芥川賞候補、第112回文學会新人賞。 その家は沈んでいた。落ちているのではない、暗いのでもない。 汚れてすらいない。ただ沈んでいる。過度な灌漑が地盤沈下を引 き起こすように、この家の中に潜む何かがゆっくりと家を沈めて いる。沈みながら、その歪みに耐えながら家は、決定的な陥没を、 むしろ待望するように待っている。