第151回芥川賞候補作5作

【書  名】春の庭
【著  者】柴崎友香
【出 版 社】文藝春秋(文学界2014年6月号)
【発 行 日】2014年6月号
【点  訳】ハッチー
【校  正】賽子
【作 成 日】2014年7月
【ファイル】haru(全2巻)
 第151回芥川賞受賞。行定勲監督によって映画化された『今日の
できごと』をはじめ、なにげない日常生活の中に、同時代の気分を
あざやかに切り取ってきた、実力派・柴崎友香がさらにその手法を
深化させた最新作。
離婚したばかりの元美容師・太郎は、世田谷にある取り壊し寸前の
古いアパートに引っ越してきた。あるとき、同じアパートに住む女
が、塀を乗り越え、隣の家の敷地に侵入しようとしているのを目撃
する。注意しようと呼び止めたところ、太郎は女から意外な動機を
聞かされる……
いつもの街の中に、気づかなかった「時間の流れ」や「暮らし」の
歓びが浮かび上がります。

【書  名】メタモルフォシス
【著  者】羽田圭介
【出 版 社】新潮社(新潮2014年3月号)
【発 行 日】2014年3月号
【点  訳】賽子
【校  正】桃子
【作 成 日】2014年7月
【ファイル】metamor(全1巻)
 第151回芥川賞候補。完全に奴隷の状態にならなければ見えてこな
世界を見たい! SMクラブの女王様とのプレイを重ねるうちに、
究極の快楽を求めるようになった男が見たものは何か?

【書  名】どろにやいと
【著  者】戌井昭人
【出 版 社】講談社(2014年群像1月号)
【発 行 日】2014年1月号
【点  訳】koco・ぶん
【校  正】賽子
【作 成 日】2014年7月
【ファイル】doroniyaito(全1巻)
 第151回芥川賞候補。万病に効くお灸「天祐子霊草麻王」を行商す
る「わたし」は、父の残した顧客名簿を頼りに日本海沿いの村を訪
れる。出会う人々は一癖も二癖もありそうな人たちばかりで…

【書  名】マダム・キュリーと朝食を
【著  者】小林エリカ
【出 版 社】集英社(すばる2014年4月号)
【発 行 日】2014年4月号
【点  訳】賽子
【校  正】ぶん
【作 成 日】2014年8月
【ファイル】curie(全2巻)
 第151回芥川賞候補。大震災と津波から10年。”光”を通して過
去を見る猫がいて、そんな猫との邂逅を待つ少女がいる。注目の新
鋭が描く、生き物たちと“放射能”の物語250枚。

【書  名】吾輩ハ猫ニナル
【著  者】横山悠太
【出 版 社】講談社(群像2014年6月号)
【発 行 日】2014年6月号
【点  訳】桃子
【校  正】ハッチー
【作 成 日】2014年9月
【ファイル】neko(全2巻)

  第57回群像新人文学賞受賞作。第151回芥川賞候補。上海に住む  日中混血(ダブル)の青年、カケル。  親元を離れ日々を徒然に暮らしていたが、ビザの更新のため日本に  行くよう母親に言われる。一人旅のすえたどりついたのはオタクの  聖地、秋葉原。その馬鹿馬鹿しくも傑作な結末とは?  ――「日本語を学ぶ中国人を読者に想定した小説」、すなわち「カ  タカナを使わない小説」を書くというコンセプトのもと綴られるカ  ケルの物語は、見たことのないルビ使い、日本語と漢語を大胆不敵  に混交した文章で、読むものを幻惑し圧倒します。言語自体を相対  化する文章表現、日中現代文化への風刺、漱石や子規他近代文学の  パロディなどなど、知的な企みは、新鮮な驚きに満ちています。思  わず声を出して笑ってしまう、個性的なユーモアにも注目してくだ  さい。